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【報告】特別研修会「宗教は人の心にどのような影響を与えるか 臨床宗教師の役割」

2023.11.20

【日時】2023年11月10日(金)13:30-15:00

【会場】大宮学舎本館講堂および清和3階

【参加人数】23名

集合写真

【講師】鍋島直樹(本学教授)

    大村哲夫(上智大学教授)

【主催】関西臨床宗教師会

【協力】龍谷大学世界仏教文化研究センター人間・科学・宗教オープンリサーチセンター

【概要】

本研修会は、きのくに国際高等専修学校の生徒を主たる対象に、関西臨床宗教師会主催で行われたものである。

鍋島直樹教授

最初に大宮学舎本館講堂にて、鍋島直樹本学教授による臨床宗教師に関する講演がおこなわれた。そもそも宗教とは心のよりどころであり、死が終わりでなく、その先にある救いのぬくもりを伝えるものである。そして臨床宗教師とは、さまざまな人々の苦悩に寄り添い、その人の信仰や価値観を尊重しつつ、生きる力を育む宗教者である。

現在、関西臨床宗教師会には60名もの会員が所属しており、その宗派もさまざまである。ただし宗教勧誘や営利は行わないことが臨床宗教師の理念・特徴である。その活動もさまざまであり、病院や介護施設、オンラインや在宅訪問での傾聴活動など、さまざまなコンテンツを駆使して人々の苦悩に寄り添っている。

研修会の中で鍋島教授は、傾聴は挑戦であり継承であると話された。それは、人の悩みに寄り添い続け、諦めずに挑戦しつづけることで、いのちの意味を確認し、死を超えた「愛」を継承するという営みこそが傾聴である、ということである。生徒たちも真剣な眼差しで、時に頷きながら鍋島教授の講演に耳を傾けていた。

トークセッションの様子

次に、清和館3階に会場を移し、大村哲夫上智大学教授を中心に、関西臨床宗教師会員を交えたトークセッションが行われ、会話を通して臨床宗教師の役割や意義についての学びを深めた。その後、登壇者と生徒たちとの質疑応答が行われた。そこでは、

・悲しみは人間同士の力では乗り越えられないのか

・「神」とは何か

といった生徒たちの素朴な疑問をもとに闊達な意見交換がなされた。いずれにしても、生徒たちにとっては普段、接することの少ない、宗教やグリーフケアの役割について考える充実した時間であったことは間違いない。

(文責:PD 西村慶哉)

(協力:実践真宗学実習助手 伊藤顕慈)