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【報告】1/17シンポ「恋文💞大震災の悲しみに寄り添う」

2024.01.25

【開催日時】2024年1月17日(水)9:15~10:45

【開催場所】龍谷大学大宮学舎東黌101教室

     ※龍谷大学文学部「真宗学概論A2」(担当:鍋島)の特別講演として開催。

【主催】日本学術振興会科学研究費基金 特別研究員奨励費「臨床宗教師のケア−現代日本の仏教チャプレンとスピリチュアルケア運動」(23KF0071)研究代表者 鍋島直樹(龍谷大学)

【協力】龍谷大学世界仏教文化研究センター 人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センター(CHSR)

【概要】

鍋島直樹本学教授

本講義は主として「真宗学概論A2」の受講生を対象として開催されたものであり、東日本大震災の被災者・遺族である菅原文子氏の講演を通し、震災における悲しみについて共有した。本年は、能登半島地震が発生した年でもあり、また開催日である1月17日は阪神淡路大震災が発生した日でもあった。

始めに、鍋島直樹本学教授による講義が行われた。鍋島教授は別離の悲しみについて、「別れは出会いの始まり」という大谷光真前本願寺門主の言葉を紹介し、また自身の被災体験を交えつつ、「悲しみは超えるのではなく、そのまま愛や慈しみ」であると結ばれた。

菅原文子氏

次に、東日本大震災の被災者である菅原文子氏の講演が行われた。菅原氏はを自身の経験を通し、震災によって日常が失われることの悲しみ、そして念仏との出遇いについて赤裸々に語られた。菅原氏は念仏との出遇いを通して「さまざまな苦しみや悲しみが生きる力に変化」したと話された。その後、震災により往生された夫へと宛てた恋文が朗読され、参加者も胸をうたれていた。「死は終わりではない」という菅原氏の言葉が印象的であった。

記念写真

その後、鍋島教授と菅原氏による対談が行われた。菅原氏は被災時を振り返り、「頑張れという言葉が辛かった」と回顧された。しかし、当時浄土真宗本願寺派総合研究所の研究員であった金沢豊氏の「無常は希望である」という言葉に勇気づけられたという。あらゆるものは移り変わっていくからこそ、今の苦しみも不変ではない。まさに悲しみの場において仏法はいかに弘まっていくのかを学ぶ機会となった。

その後、行われた振り返りでは、

・「頑張れ」という何気ない言葉が人を苦しめることがあることに気づかされた。

・「頑張って」ではなく「委ねる」が適しているかもしれない。

といったコメントが寄せられた。また、講演後に参加者へ配布したコメントカードでは、

・悲しみは乗り越えるのではなく、ともに生きて、自分を強くしてくれるものでもあることを知りました。これからもありのままにひたむきに生きていきたいと思います。

・東日本大震災は私が幼いころの出来事であったので、被災された方のお話を聞ける機会は、震災の辛さや悲しさを知る貴重な機会でした。

・1月1日に能登半島地震が起きてから私には何ができるのだろうとずっと思っていました。今日、菅原さんのお話のなかで「がんばって」の言葉が被災者に苦しいことになること聞いて、少しでも「応援しています」と伝えたいと思いました。Nさん

・大切な人を失った悲しみが生きる力になって自分の軸となって支えられているということが学べました。震災のご遺族の菅原さんのお話を実際に聞くことができてうれしかったです。

・「悲しみが錨のように心のバランスをとってくれている」という言葉が心に残った。死別の悲しみは決して消えることはないが、還相の仏として亡くなった方と遇うことのできる浄土真宗のみ教えが生きていると感じた。

など、悲しみに向き合おうとする参加者たちの思い思いの所感が述べられていた。

(文責:西村慶哉)