【報告】特別講義「京都府の自殺対策の理念と実際」
2023.06.12
テ ー マ:京都府の自殺対策の理念と実際
講 師:宮村匡彦氏(京都府健康福祉部地域福祉推進課参事)
粟津彩氏(京都府健康福祉部地域福祉推進課副主査)
進 行:鍋島直樹(本学教授)、望月真世(大学院生)
開催日時:2023年5月24日(水) 13:30~15:00
開催場所:龍谷大学大宮学舎東黌202教室
主 催:龍谷大学 世界仏教文化研究センター応用研究部門
人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センター(CHSR)
協 力:京都府 健康福祉部 地域福祉推進課
【講義風景】
【成果概要】
京都府は行政の中でもいち早く自殺対策に取り組んでおり、平成二十七(2015)年には都道府県で初めて自殺対策に関する条例を制定している。その中、第三条に書かれる「自殺が個人的な問題としてのみ捉えられるべきものではなく、その背景に様々な社会的な要因がある」が京都府の「死にたい」という気持ちに対する基本的な考え方である。
この考え方のもと、京都府では大きく分けて①「府民の理解促進」、②「社会的要因の軽減」、③「支援体制の整備」という3つの取り組みを行っている。この中、②「社会的要因の軽減」の一環として、京都府では多職種が連携し府民の悩み相談をおこなう「総合相談会」が設置されているが、その待合室入口に「きょうのモンク」との名称で、本学を含む臨床宗教師による傾聴サロンが開設されている。臨床宗教師は、待合室において来談者の不安に寄り添う傾聴活動を行っている。傾聴によって「心が楽になった」と再度お礼を言いに来られた来談者もおられ、さまざまな悩みを抱える方が訪れる「総合相談会」における宗教者の介在は、心のケアという意味でも大きな役割を果たしていることが共有できた。
(報告・文責PD西村慶哉)