研究活動

研究活動報告

【特別講義】2019年11月14日(木)「看護と仏教の連携による地域包括ケア」が開催されました。

2019年11月14日(木)

特別講義「看護と仏教の連携による地域包括ケア」が開催されました。

 

講師の河野秀一氏(株式会社サフィール代表取締役・北里大学看護学部非常勤講師・関東学院大学大学院看護学研究科非常勤講師・一般社団法人日本看護管理学会評議員)より、看護と仏教の連携はいかにして可能となるか、地域包括ケアを射程とした構想をご講義いただいた。

 

河野氏は、地域包括ケアシステムの必要性と在宅医療に対する期待への高まりがあることを説明された。生老病死という言葉があるが、病に罹ってすぐに亡くなるというよりも、少しずつ虚弱になっていくという考え方から見れば、「生老⇒病⇒介護⇒死」という考え方が出来るという。ここで注目するのは、訪問看護師の活動である。訪問看護師は利用者のQOL(Quality of Life)とQOD(Quality of Death)の向上を目指すことにあり、チームアプローチとして、様々な専門職と連携を取りながらケアを行なっていくことになる。そして、訪問看護師は多職種・利用者の「つなぎ役」と言うことが可能であり、入退院、日常、看取りそれぞれのシーンにおいて、その人に関わっていくということに専門職との違いがある。

 

ACP(Advance Care Planning)においては、宗教者は他職種協働のメンバーとして協働可能な職種として考えられる。エンド・オブ・ライフケアを僧侶も一緒に勉強しながら、看護職と一緒に、どんな人生の終わりを考えていくのか。特に、お独り様という場合、宗教者が一緒に考えていくことが良いのではないか。また、終生期における看護師と僧侶の役割においては、看護師と僧侶が重なる部分も出て来る。一緒に話し合う、協働していくということが自然な流れであり、まさに相互補完関係にあるのが看仏連携である。

 

また「地域包括ケア寺院」では、地域包括ケアの時代において、お寺が地域コミュニティの場になるのが自然なことである。生老病死の語り合いの場、学び合いの場という、いわゆる公民館という形での活動があって良いのではないか。「まちの保健室」という場であっても良いし、ACPを一緒に学び合う場、何でも喋れる心理的な安全ということも必要であり、苦を抜くという場がお寺には出来る。これからの寺院は地域包括ケアの拠点であり、ハブ機能を持った施設になっていくのではないか、ということも提言された。

 

最後に、看護職と僧侶との連携においては、まず、看護師と僧侶が共に終生期について学ぶというところからスタートする。これにより、アドバンスケアプランニング・緩和ケア・エンドオブライフケア・グリーフケア・看取りの質が高まっていく。これは、看護師と僧侶それぞれの死に対する考え方を披露し合うことによって、この質が高まっていくと考えられる。それに加えて、グリーフケア・カンファレンス開催による協働により、厚生労働省が考える人生の最終段階におけるケアの充実というところに関わってくる。そして、看護の質向上、患者・檀家・家族の満足度が向上する。地域包括ケアシステムの完成が、看護職と僧侶との連携によって出来ると考えられるというものである。

 

聴講生からの質問では、僧侶が多職種と連携を行なっていく上での課題は何か等、河野氏の構想の根幹に係る質問もなされ、河野氏は一人一人の声に耳を傾けながら、真摯に答えられた。

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