研究目的・意義

「仏教・浄土教を機軸としたグリーフ
サポートと救済観の総合研究」の目的・意義

 死生観は、人々がそれぞれの死を見つめ、限りある人生の意味や人間を見直し、互いに愛情をもって接するというところにある。仏教の「生死」の意義は、「死生」と同様に、あらゆるものが無常にして稀有であることを自覚させるとともに、曠劫より久しく流転輪廻し、迷い・苦・罪を繰り返しているという反省を促し、時空を超えてあらゆるいのちが相互に関係しあっている一体感も育む。不老不死を求める医療において、生老病死の四苦を超える仏教死生観とビハーラの意義を再評価し、生きることの意味、死から生まれる志願、慈愛、感謝を育む教育を世界に発信するところに、研究の目的・意義があるといえるだろう。

 研究の目的は、2010年度からの3年間、「死生観と超越」の研究に取り組む中から生まれてきた。その新たな目的は「仏教・浄土教を機軸としたグリーフサポートと救済観の総合研究」であり、さまざまな悲嘆を理解し、生死を超えた依りどころ、救済観を解明していくところにある。

 死生観・救済観研究は、単なる知的探求だけではすまされない。そこには、二つの角度からのアプローチが必要とされる。一つめは、何よりも現場を踏まえ、さまざまな死別悲嘆をどのように理解し支援するかというグリーフサポートの実際的・臨床的研究である。東日本大震災における遺族の悲嘆、自死遺族の悲嘆などを理解しつつ、日本にふさわしいグリーフサポートのモデルを構築する。二つめは、歴史を超えて受け継がれてきた仏教の伝統文化を踏まえ、仏教・浄土教を機軸として、悲嘆をどのように受けとめ、葬送や救済観を明らかにしてきたかという仏教教学的・教理史的研究である。そして、その仏教・浄土教の特色を意義づけるために、宗教多元社会におけるグリーフサポートと救済観を理解することと、東アジアから日本に流れてきた儒教・道教にみられる弔い・葬送観と救済観に学び、学際的な研究交流を進める。

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