研究活動

研究活動報告

【5月31日】龍谷大学大学院実践真宗学研究科創設10周年記念 国際シンポジウムが開催されました

龍谷大学大学院実践真宗学研究科創設10周年記念として国際シンポジウムが、那須英勝龍谷大学大学院実践真宗学研究科長補佐・龍谷大学文学部教授の通訳と進行により開催されました。本シンポジウムは、「世界の苦悩に向き合う智慧と慈悲-仏教の実践的研究のための新視座」と題し、ハーバード大学・神学大学院副院長のジャネット・ギャツオ教授による講演と大学院生による討論がなされました。

 

【概要】

シンポジウムの初めに、ハーバード大学 神学大学院 副院長のジャネット・ギャツオ教授により、チベット仏教に学んできた経験および現在取り組まれている仏教に基づいて世界の平安のために実践するリーダーを養成する教育について講演していただきました。また、ギャツオ教授は、仏教の慈悲が他者の苦しみを自分のことのように受けとめようとするいつくしみであり、それが緩和ケアの姿勢に応用できること、さらに生きとし生けるものを尊重する仏教の精神に基づき、動物の喜びや悲しみを理解して、動物をケアし、動物の生育環境を護ることもできると提言されました。レスポンスとして登壇した大学院生への発表に対してギャツオ教授は、「リーダーシップをもてるかどうかは、あなた自身の覚悟、勇敢さによる」と大学院生にエールを送られました。
次に、鍋島直樹龍谷大学大学院・実践真宗学研究科長(龍谷大学文学部教授)より、「龍谷大学大学院「臨床宗教師研修」-寄り添うスピリチュアルケアと伝わる宗教的ケア」と題する発表がなされ、仏教チャプレンのめざす姿は、部屋の片隅にあるくず箱のように、存在を主張せずに、そっと人々の苦悩をそばで受けとめる存在であり、その人の心の支えを確認し、生きる力を育む宗教者であることが提言されました。また、宗教的ケアとは、患者の希望を確認したうえで、仏教の教えをその人とわかちあうことであり、あたかも暗闇に月の光がさすと、ぬくもりを感じるように、苦悩のなかで、自らの人生をふりかえり、過去を変えることはできないが、人生の意味を変えることができることである。宗教者が実践できるのは、宗教者自身に確かなよりどころがあるからであり、大悲に抱かれて、自らの無力さを自覚しつつ、限界を知ったうえで精一杯努力できると説明され、心の悲しみを受けとめる姿をプレイキャッチのロールプレイで説明されました。
最後には、龍谷大学の臨床宗教師研修の活動を紹介した映画Ryukoku Interfaith Chaplaincy Episode 3が上映され、ギャツオ教授より、「トレイニング自体が悲しみの現場で人々のケアをすることにつながっている。もとに戻れない死の現実に向き合いつづけるその姿勢が、仏教者の実践として感じ取られる」とのコメントをいただき、鍋島教授は、「臨床宗教師は、相手に自分の答えを与えて去る存在ではなく、解決のつかない苦悩をともにうめきながら悲しみ、解決できるようにむきあう覚悟をもった宗教者である」と応答されました。

当日は、約120人の学生や市民が集い、心ぬくもるシンポジウムとなりました。願わくは、ハーバード神学大学院と実践真宗学研究科とが、国際的なパートナーシップを築いていきたいと思います。
このたびのシンポジウム開催にあたり、ハーバード大学 神学大学院 副院長のジャネット・ギャツオ教授はじめ、ご支援をいただいた関係各位に心から感謝申しあげます。

(文責 鍋島直樹)

      

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